インプレッション

【1万円リア11速コンポ】L-TWoo R9 実走インプレ

さて、L-TWoo R9実走インプレを書いてみようと思います。

エルゴパワーとクリソツなレバー!その違いは?

まずは見た目の比較です。

以前使ったことのあるCampagnolo Veloceがこちらですが……。

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……確かに見た目だけならよく似ています(;^ω^)

ブレーキレバー手前のレバーでシフトダウン、親指レバーでシフトアップ……。
構造まで似ていますが、実際に手に取ってみると結構違っている事が分かってきます。

まず、エルゴパワーよりももう一回り小ぶりです。握ってみると、横方向の厚みを中心に顕著に差がある事が分かります。
アジア圏の人間ならばこの程度のサイズ感でちょうどいいのではないでしょうか。ただパクっただけのレバーならば、このような調整は行わないはず。販売される地域を見越して最適化を重ねたであろうことが見て取れます。

何より、親指シフトの位置が絶妙で、ブラケットポジションでの変速が手にばっちり馴染みます。

ちなみにエルゴパワーの場合だと、少し親指を手前にずらさないとシフトアップできません

なお、シフトダウン1回で最大2段まで可能。シフトアップは1段と、エルゴパワーにおけるPS(パワーシフト)をより簡素化した機構が組み込まれています。

レバーの利点と欠点

ただ、欠点もまた多いです。
エルゴパワーと比較しますと、レバーがとにかく硬くて重い……。相対的にバチバチとした強烈な機械音を楽しめますが、小ぶりなレバーに対してこの重さは、握力の伴わない女性やご老人にはつらいものがある気がします(;^ω^)

なにより、このレバー最大の欠点は、購入記事にも書きました通り、下ハンドルからのシフトアップが不可能であるという事。

ここ最近、中華の自転車パーツメーカーが力を持ち始めています。2019年初頭あたりに、中華メーカーSENSAH製のロード用リア11速の変速機EMPIREがリリースされ、その安さも相まって自転車いじりの間で話題になりました。ついにはリア12速のEMPIRE PROまでリリースされ、日本国内の代理店まで決まるなど、相応の盛り上がりを見せています。そんなこんなでうっすらと中華製のシフターに対する興味を持ち始めたのですが……昨年の9月頃でしょうか。同じ中華のパーツサプライヤ、L-TWooからも、こんな変速レバーがオフィシャルサイトから情報と...
中華パーツ買ってみたシリーズ ... 1万円でお手軽リア11速!L-TWoo R9【親指シフト】 - う゛ぇろ☆いじり

私の場合通勤が主体ですから下ハン変速はほとんどやりませんので現状気になりませんが……例えばこれが休日のロングライドだったりすると、何かしらの不満に直結することは目に見えています。

私個人としては、SHIMANO 2300を使ってましたからその関係で懐かしく感じましたw

ホダカ製のロードバイクを買っておおよそ半年。いい感じにロードバイクに体が慣れてきたので、一度はロングライドに挑戦しようと考えておりました。その折、「日常のDVD 3巻」で、地元の観光地が何故か複数取り上げられていたので、早速コレを題材に走りに行こうと気持ちが固まりまして。昨日9月10日に、輪行する形で人吉市の大畑駅から自転車で熊本市内を目指すロングライドを敢行致しました(・∀・)……結果としましては八代市までで力尽きましたけどねwとりあえずその一部始終を、自分をゆっこに置き換える形で絵日記風に紹介し...
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次なる欠点としては、リアディレイラーの記事でも書きましたが、パーツ間の干渉が起きる、という事が挙げられます。レバーでもこれが発生するのです。

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リアのシフトダウンを2段行おうとすると……なんと、シフトダウンレバーが親指レバーと干渉して引っ掛かりが生じてしまいました(;^ω^)
最初うまく変速できなくてちょっとしたストレスになりました。

なのでリアのシフトダウン/フロントのシフトアップを使うときは、少し手前に引いてから行ったほうがいいです。これならすんなり2段変速が行えます。

色々書きましたが、利点もあります。

まず、ブレーキレバーの剛性ですが……結構しっかりとしている印象です。写真にも納めてますけど、レバー自体は、結構分厚い金属で形作られている事が分かります。命を預ける機器だけに、このレバー自体には安心感が伴っていなければいけません。その点は十二分にクリアしていると思います。

何より、ブレーキレバー比がNew Super SLR相当、そしてピボット位置がエルゴパワー相当という構造ですから、ブレーキフィーリングがいい意味でルーズというか、抜群に使いやすいのです。

一緒に導入したSHIMANO BR-R561との相性もばっちりで、わりとガチな話、ブラケットポジションで下ハン張りのブレーキングが行えるのでは……と感じうるレベルの、細やかかつリニアなフィーリングが味わえます。おそらくレース向きではない類の緩さでしょうが、通勤目的だったり、ツーリング目的で利用する上ではかなり相性がいいブレーキレバーだと感じました。

L-TWOO R9 を導入するにあたって、色々足りないパーツを補う必要が出てきました。クランク、スプロケ、チェーン……ここいらはこれまでの経験もありますし、そこまでお高いものを使うつもりもないので極力安く済ませます。なんだかんだで、L-TWOO R9も含め、全部合わせて25,000円程度で揃えることには成功しましたが……。結局悩みのタネとなったのは、ブレーキセットでした(;^ω^)GIANT OCR1はもともとがロングアーチ対応のフレームなのです。そして、L-TWOO R9のレバー比は、New Super SLR / SLR-EV 相当。手持ちのブレーキセットは...
New Super SLRの功罪とは!? SHIMANOのリムブレーキ規格の変遷と謎を(勝手に)たどる - う゛ぇろ☆いじり

変速具合とその特徴

続いて変速具合です。

まずリアの変速ですが、予想以上に精度がしっかりと出ています。思ったよりも変速ショックが少なく、シルキーな変速音を楽しむことが出来ました。

最初はチェーン落ちが起きない程度の適当な調整のまま乗ったんですが、たまたまだったのもあるんでしょうけど確実に変速してくれました。初期のび調整を改めて行っても特に難しい調整作業は伴わず、基本に則った作業を行うだけで十分でした。

SHIMANOのハイエンドパーツと比較すれば当然程度は下がるでしょうが、過去使っていたSHIMANO 2300(Claris相当)の変速よりも間違いなく上だと感じました。SRAM RIVAL22と比較してもひけを取らない印象です。Ultegra RD-6500RD-6600ほどのヌルっとした変速には叶わない感じですが、下手すりゃ一昔前のSHIMANO 105相当の気持ち良さは再現できているのではないでしょうか。

SHIMANOのようなセンタロンを使わずにどうやってこの精度を出しているのか……いささか謎です(;^ω^)

ただ、フロントは結構シビアな印象です。

クランクとの相性など様々な要素が絡んできますから致し方が無いところではありますが……色々試行錯誤しながら、バシッと決まるところを探さなければなりません。

その過程で、トリムが効くことを発見しました。

左のレバーそのものにノッチが2つあるので、ひとつ目のノッチがトリム要素になるわけです。が、そもそも先のレバー干渉問題の影響で、2段目に入りづらいというのがあります(;^ω^)
なので、このノッチそのものに気づかない人が居てもおかしくないかもですねw
せっかくなので、この2段目のノッチを殺さないように、ワイヤーテンションの微調整を重ねていきます。ここで、テンションアジャスタが大活躍をするわけです。

とりあえずギアをアウターに合わせた状態がこちら。

トリムを効かせると、羽が少し内側に移動するのが確認できました。
トリムを効かせたほうがチェーンが羽に接触しておりますが……そこは私の腕が足りていないという事で(;^ω^)
何度か調整を重ねましたが、これはクランクとの相性なのか精度の問題なのか、単に私のスキル不足なのか、この状態が限界でしたw
羽を外に出し過ぎるとすぐにチェーン落ちしてしまいますので……トリム機能を生かそうとするとかなり高度な調整スキルが求められるようです。幸いにして調整段階以外でのチェーン落ちは経験していませんが……まぁどんなフロントディレイラーにも言えることですが、結構慎重さが求められるポイントだと思います。

ちなみにトリムは、左の親指レバーを半押しすることで実現できます。ここらへんはSHIMANOのレバーと同じですね。

細かい変速性能に関しては……後述するクランクセットと合わせて書きたいと思います。

番外編:Praxis Works ALBA

チェーンリングボルトとチェーンの色合いのミスマッチによる見た目のダサさはさておき(;^ω^)

Praxis Works ALBAのクランクのインプレも一緒にやっちゃおうと思います。

クランク自体はかなり硬い部類に属しまして、スピンドルの太さも相まってか力が逃げることはありません。これまで使ってきたUltegra FC-6500と比較しても一回り硬い気がします。ただ、Dura-Ace9000と比較すれば可愛い硬さです(;^ω^)
お陰で力も逃げず、脚力を素直に自転車に伝えることが出来て、漕いでて楽しいです。

運用上心配事があるとすれば、雨天走行にBBがどれだけ耐えられるか……。これまでシーリングが弱いBB-7700を使ってきましたから、比較すればわりかしマシな気もしますけどね(;^ω^)
ただ、分解してグリスアップが出来る類のBBではないので、コスパという点では劣るのではないかと推測されます。まぁこれも使ってみてからのお楽しみ、という事で考えていきましょう。

さてここでフロントディレイラーの変速性能についてです。

幸いにして、クランクとの相性も良かったようです。

変速性能自体は少なくともSHIMANO 2300(Claris相当)の変速機よりは上だと感じましたが、SRAM Rival 22と比較すれば少し劣る気がします。Ultegra FD-6500Sora FD-3500などと比較すれば明らかに劣ります。シフトアップ時のチェーンの昇りはゆっくりとしたもので、インナーに落とすときも結構ガッチャンと大きい音を伴います。こればかりは違うメーカー同士の組み合わせですから、仕方がないですかね(;^ω^)

最後にバーテープを巻いて完成

そんなこんなで実走を終えて、初期のび調整を終えたところでバーテープを巻いて完成です。

ドライブトレインの色合いがダサいので、せっかくだからとバーテープも色をちゃんぽんしてみることにしました。

貧乏性なので、一度使ってはがしたものを再利用した結果この状況です(;^ω^)

ただ、意外ときれいに巻けましたし、色の違いが味わい深くて何気に気に入ってしまいましたw

左が、Lynskey Helix Pro用に利用して半年で外したFizik Super Light Glossy
色はオレンジ。

右が、これまで使ってきたFizik Tempo MicroTex Classicになります。同じメーカーという事もあって統一感は出てますw
手触り感はまるで別物ですが、個性が出せたからよし、という事で(;^ω^)

総評

正直なところ、L-TWoo R9は、ツッコミどころはありつつも、なかなか馬鹿にならないしっかりとしたクオリティを保った変速セットだという評価になりました。

パーツ個々で評価すれば、モノによってはSHIMANO Tiagra相当、SRAM Rival 22相当のクオリティを保っているといっても過言ではないのですが、変速時の硬さレバーの干渉など、マイナス要素を加味すれば、総合点としてはそれより少し劣るのかなという印象です。
総合点で考えれば、SHIMANOでのSora(3500 9s相当)SRAMでのApex(10s相当)CampagnoloでのVeloce(2000年代の10s相当)あたり同程度の商品だと考えられます。とはいえ、リア11速である、1万円程度という価格帯は、それらを超える十分なアドバンテージだと言えるでしょう。

入手性の悪さを考慮すれば正直お勧めしずらいのですが、変わり種を使ってみたい、という変態紳士の方たちには是非とも手に取っていただきたい商品ですね。

しかし中華製の自転車パーツ……。
いざ手に取ってみると面白い発見があって、何といいますか楽しみの幅が広がります。

今後の私の自転車いじりの方向性が変わってくるかもしれませんw

kazuboh

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  • はじめまして。
    AliExpressに変なパーツ売ってんなーと思ってたら、まさか買って装着してインプレまでしてる人がいることにびっくりしました。このパーツが日本語で詳しくレビューされてるだけで、この記事は値千金ですね!

  • コメントありがとうございます、恐縮です(;^ω^)

    当方絵に描いたような薄給のホビーライダーなものでして、インプレできるものも安いものばかりという体たらくですw
    L-Twoo R9もその一環で買ったものですが、安いなりになかなか馬鹿にならないクオリティだったりするので楽しみは尽きないです。
    ちなみにL-TWooの現状の評価としましては、レバーはまだまだ発展途上で今後の発展に期待、RD/FDは概ね及第点超えのクオリティを持っている、総合的にはレースに不向き(あくまでホビー向けのマスプロ品)という印象ですね(*'ω'*) 

    またなにか面白いものを手に入れたら、インプレ記事を書く事になると思いますw