ここ最近、中華の自転車パーツメーカーが力を持ち始めています。
2019年初頭あたりに、中華メーカーSENSAH製のロード用リア11速の変速機EMPIREがリリースされ、その安さも相まって自転車いじりの間で話題になりました。ついにはリア12速のEMPIRE PROまでリリースされ、日本国内の代理店まで決まるなど、相応の盛り上がりを見せています。
そんなこんなでうっすらと中華製のシフターに対する興味を持ち始めたのですが……昨年の9月頃でしょうか。同じ中華のパーツサプライヤ、L-TWooからも、こんな変速レバーがオフィシャルサイトから情報として登場していることを知りました。
駒「レバー全体がエイリアンみたいな形してんねん」
内「Cam×agn○loやないか?」
思わず漫才師のミルクボーイのボケツッコミをお借りしたくなるようなこの潔さ(;^ω^)
ぱっと見、どぉー見てもエルゴパワーです。
なお、こちらを開発したL-TWoo自身はといいますと、見た目パ○リなパーツばかりかと思いきやそういうわけでもなく、2015年段階でリア12段のMTB用変速機を開発・発表するなどといった実績を持った企業でもあります。実際ググると、MTBを中心に複数のコンポーネントを展開している中堅企業である事が分かります。
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駒「ロゴマークはな、赤くて全体的にぶっとくて傾いてんねん」
内「Cam×agn○lo違うかー。S○AMやないか!?」
……ミルクボーイが止まりません(;^ω^)
そんな感じで、すぐに惹きつけられてしまいましたw
そして先月末、ブラックフライデー&サイバーマンデーに合わせる形で、リア11速のR9がAliExpressにて陳列されているのを発見。
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一式、1万円という驚きの安さです。
ということで、衝動買いしてしまいました(;^ω^)
注文してから20日……。
ボコボコに凹んだ箱が、らしさを醸し出していますw
お馴染みのCN22と記載された税関告知書がベタ張りされてましたが、今回は小規模取引という事で関税はゼロ円でした。
いそいそと箱を空けますと……簡体字になるんでしょうか、読めない漢字を含んだ文言が姿を現しました(;^ω^)
ついに、梱包材でぐるぐる巻きにされた各パーツが登場。FDのみL-TWooのロゴがあしらわれた袋に入れられていました。
ということで、パーツごとに見ていきます。
既にいくつかのインプレ記事が世に出回っていますので、まだ触れられていないところを中心に書いていこうと思います。
重量やハンドルへのアッセンブルなどに関しては、しがないリーマンと自転車の話さんの記事に詳しいです。
へへへ…ブツが届いたぜ…。全く読めないんですけど!!開封握るのが下手なおにぎりではない。バルクでも壊れないようにちゃんと包んであるね。やっとご対面!L-TWOOの11速ドライブトレイン「R9」です。お値段なんと1万円。シマノ互換らしいです。色々試しているのはSHIMANO 【中華コンポ】1万円の11速コンポーネント L-TWOO R9が届いた話。開封の儀()【親指... - しがないリーマンと自転車の話 |
材質はレバー本体と変速機構で金属が主に使われており、ブラケット部分には樹脂が利用されているという一般的な構造を取っています。
前述の通り、Camagnoloのエルゴパワーの造形に大変良く似ていますが、比較してみると、ブレーキ解放のボタンもなければ、シフトダウンレバーの形状も材質も大きく異なっています。シフトダウンレバーの造形は、どちらかというとSRAMに近しいデザインです。
作り自体は、思った以上にしっかりとしていて、ブラケットを握るとしっかり手のひらになじみます。
過去利用したことのあるエルゴパワーよりも、気持ち小ぶりな印象です。アジア人に合わせたエルゴパワー、とでも言えばいいのか、この握りやすさはかなりの好印象でした。
ただ、レバー同士の間にクッションが用意されておらず、精度にばらつきがあるためか、握ると結構ガチャガチャ音がします。まぁこのへんはご愛敬といったところでしょうか(;^ω^)
なお、フロント変速を動かしてみたところ、ノッチが2つ存在することを確認しました。実際に組付けてみてからの判断ではありますが、多少なりともトリムは効きそうです。
そして、最大の特徴はこの親指シフトレバー。
構造自体はエルゴパワーと全く同じとも言えますが、正確には位置が異なっています。
CampagnoloのVeloceと、SHIMANOのST-2300とを比較した画像です。
Campagnoloのエルゴパワーはブラケットの側面にレバーが位置していますが、相対的にST-2300はより前に存在します。L-TWooのレバーは、どちらかというとSHIMANO寄りの位置にレバーが存在していることになります。
これすなわち、下ハンドルからのシフトアップが出来ません(;^ω^)
また押し込んでみると、思いのほか動きが固いです。
この点に関しては、根元をグリスアップしたうえできちんとインストールしてから、改めて評価しようと思います。
レバーの裏側です。
ブラケットを固定するバンドの下に、変速機の軸となる金具があります。レバーを動かすとこの軸が回転するのが確認できます。
ちなみに、ブレーキレバー比は、現行のSHIMANOの規格であるNew Super SLR相当です。
古いSuper SLR相当のST-6500と比較すれば、一目瞭然でした。
レバーのピボットからワイヤーのタイコまでの距離が、一回り長くなるんですね。まぁ古いSuper SLR相当のSTIが姿を消して5年以上経ってますので、これも自然の成り行きでしょうか。
続きまして、リアディレイラーになります。
質実剛健とした作りで、近年のロードバイク用変速機では見られない武骨なデザインが目を見張ります。
が、ツッコミどころもまた多いです。
トップ側のテンションアジャストボルトを緩め切ってしまうと、なんとパンタグラフとプーリーケージが接触してしまいます(;^ω^)
同様に、Bテンションアジャストボルトも……。
ネジ頭が接触……。ボルト界隈の絶壁デザインは結構好みなんですけど、これはいただけませんね(;^ω^)
なにより、ワイヤーの取り回しがなかなかピーキーな設計になっています。
御覧の赤のルートをワイヤーが通ることになるわけですが……しっかりグリスアップしないと早々にワイヤーが断裂するのでは、と不安になります(;^ω^)
SRAMも大体同じような角度でワイヤーを通しますが、ワイヤーガードに這わせる形で固定するのでその分安心感があります。こういったところで大手サプライヤと差が出てしまうんだな、と改めて感じました。
SHIMANOやCampagnoloのリアディレイラーが曲線美の塊になっている理由もこれで何となく分かりました。各部品が接触しないように計算された機能美でもあるわけなんですね。
取付ボルトもネジ穴が浅いので、舐めないように注意する必要がありそうです。
さて、プーリーも見ていきたいと思います。
ガイドプーリーは御覧の通りで、見たところボールベアリングが圧入されています。シールドベアリングではなさそうなので、グリスを多めに塗布したほうがよさそうです。
プーリーの歯を見てみますと、大きな切り欠きを設けることで、変速誤差を吸収しようという工夫が見て取れます。SHIMANOのプーリーと比較しても、もう一回り切り欠きが大きいような印象を受けます。パテントの隙間を縫って至った構造だと考えられます。なお、SHIMANOのプーリーのようなガタはありません。
テンションプーリーも同様の構造です。切り欠きはこちらにはありません。
続いてフロントディレイラーです。
こちらは比較的オーソドックスな構造になっています。
ワイヤー比も、昨今の引き代から比較すると旧来の設計寄り、短めのようです。
前述の通りトリムが効く前提であれば安心ですが、その利きが弱い場合……チェーン落ちが怖いところではあります(;^ω^)
羽はかしめられていて、一度チェーンを通すと取り外すことは叶いません。
マイナス点を挙げるとするならば、RDの調整ボルトが六角レンチであるのに対し、こちらはプラスネジ……。
ネジは前後で統一しててほしかったなあ、というのが素直な感想です(;^ω^)
色々書きはしましたが、細かいツッコミどころはあれど、レバー単体を見れば、以前使っていたST-2300よりは上、グレード的にはSHIMANOの古いTIAGRAやCampagnoloのVeloceくらいの品質は保てている、という印象です。
ディレイラーも、SHIMANO 2300相当のクオリティは間違いなく押さえてそうな印象を受けました。
入手性、メンテナンス性などを考慮するととてもお勧めできる商品とは言えませんが、通勤やポタリングなど、よりライトなロードバイクライフにリア11速を導入したい……という人には、1万円ぽっきりという値段設定はなかなか魅力的だと思います。
さて、このパーツの今後についてですが……。
年末年始を利用して、こちらの通勤車、GIANT OCR1にインストールしてインプレみようと考えております。
現在搭載しているUltegra6500は取り外して、綺麗にオーバーホールをかけて保管しておく予定です(^ω^)