毎年恒例、お盆に、通勤車であるGIANT OCR1をオーバーホールしました。
今回行った作業記録を記事にまとめつつ、新規導入したSENSAH TEAM PROのインプレを行ってみようと思います。
前回のメンテから今回のメンテまで
今年は阿蘇パノラマラインヒルクライムに出場することを目標にしていたので、その練習のためにと花岡山に毎日登るのを日課にしていました。
大会終了後もこれがルーチン化しまして、ローカルレジェンドをほぼ半年ほど継続中という感じです。
結果的に例年よりも乗った距離も多ければかけたトルクも大きい……。その分汚れや痛みも激しいときています(;^ω^)
前回コンポをL-TWoo R9に交換してから、8ヶ月で3,000km前後。タイミング的にも申し分なさそうです。
3,000km使ったL-TWoo R9のシフトレバーの状態
さて、ここまでで問題になっているのが、L-TWoo R9のレバーです。
特に左レバーを含むハンドル周り……。
もがきすぎて左のバーテープが解けてしまっております。
それよりも問題なのが、レバーフード……表面がめくれて薄皮が毛羽立って大変気持ち悪いことになってしまいました。
ちなみに、1,000km運用段階ですでにご覧の状態……L-TWoo R9の新たな問題が露呈した瞬間でした。
レバーフードが脆い上に、単体での換えがないと来ています(;^ω^)
2,000km運用したあたりでここまで……。
ここらへんで、別の欠点も見えてきました。
雨天時に走ると分かるんですが、このレバーフード、素手で握ると……まぁまぁ滑るという欠点です(;^ω^)
角度を変えて撮影したものがこちらです。この頃から表層が角質のようにめくれては剥がれ……を繰り返すようになっていきます。
そして、3,000kmでこんな状態に。フード自体が歪んでレバーにすら固定されなくなり、ボコボコになってしまっているのがわかります(;^ω^)
……これはちょっと継続運用ははばかられますので、新しいレバーを買って交換することにしました。
SENSAH TEAM PROの購入
前述したとおり、代替レバーとして選んだのは、L-TWooの兄弟企業とも言えるSENSAH制のシマノ11s互換製品、TEAM PROです。
L-TWoo同様、SRAMの旧中華工場から産み落とされたSENSAHは、当初SRAM互換のEMPIREにて市場に姿を表しました。
1年後に12速コンポEMPIRE PROをリリースし、さらなる話題をさらった事も記憶に新しいです。
そして、TEAM PROは、SHIMANO11速互換の製品になります。
市場のニーズに合わせたんでしょうか、TEAM PROを筆頭に、R7(7s)、REFLEX(8s)、IGNITE(9s)、PHI(旧10s)、QUANTUM(新10s)……と、SHIMANO互換の各段対応の互換製品を市場に送り込むようになりました。
……デザインそのものも、まっぽしSHIMANOと言わんばかりのデザインをしているのが玉に瑕ですが(;^ω^)
とはいえ、実際に手に持ってみるとこれがなかなか精巧にできており、構造自体もユニークです。
見た目はSHIMANOですが、実際の機構はSRAMのダブルタップを踏襲しています。レバー自体は1本です。
変速機自体はブラケット内部に内蔵されており、レバーとは直結していません。
レバーを内側に倒すと、ブラケットに隠れた内部レバーがこれに押されるような形で、シフトアップ/シフトダウンを行う感じになっています。
初期ロットでは、この内部レバーが樹脂製だった関係か、結構な頻度で破損していたようです。
私が買ったものはこれが金属製だったので、耐久性も向上しているものと見て良さそうです。
そして、このレバーで特に面白いのは、ブレーキを引くと変速機構にロックがかかるという点です。つまり、ブレーキを掛けている間は変速ができません。
ブレーキを引いた途端、ブラケットとレバーとの間にあるロックスイッチが飛び出してきます。
逆に緩めると、このスイッチをブラケットが押し込む形でロックが解除されるという仕組みです。
この構造だけで、ニヤニヤが止まりませんでしたw
オーバーホール開始
さて、お盆に入ったところで早速雨続き……。オーバーホールを開始します。
まずは3,000km走ったKMC X11ELの伸び具合を確認するところからですが……驚きました。全然伸びてません(;^ω^)
雨風関係なく、毎日の花岡山で相応の標高をも攻略してきたチェーンですが、この耐久性はどうでしょうw
チェーンチェッカーをひっくり返してチェーンを固定し……。
リムーバーでミッシングリングを取り外して、まるっと洗浄します。
ホムセンのパーツクリーナーで表層部分の汚れを落とし、その後は灯油洗いで中の汚れを浮き出させる作戦をとりました。
超音波洗浄機も大活躍です。
フレームからホイールから、全てをパーツクリーナーを利用して拭き上げて、次にグリスアップへと進みます。
正月にコンポを入れ替えてるので、今回本格的に行ったグリスアップはホイールのラチェット界隈に限られました。
分解して拭き上げたところで、パークツールのポリリューブをモリッと……。
ラチェット音も(一時的に)静かになりました(*’ω’*)
続きまして、ブレーキシューの具合を見てみます。
3,000kmでご覧の通り。
もう少し使えそうな気もしましたが、この際なので同じものに交換です。
そしてレバーを……。
SENSAH TEAM PROに置き換えて、ワイヤーを張り直して完成です。
オーバーホール完了
オーバーホールが終わってピカピカになったドライブトレインがこちらです(*’ω’*)
毎度のことですが、輝きを取り戻したドライブトレインを見ると心が洗われますw
数日後、幾度かの試走を重ねた後にバーテープも巻きました。
1年前に買ったバーテープの残り片方を、今回も例によって半分にぶちきって使うという貧乏巻きです(;^ω^)
手癖で巻いたからでしょうか……。
また左のテープを逆巻きにしてしまいました(;^ω^)
実は、L-TWoo R9を搭載した際も同じように左を逆巻きにしてしまっていたんですけどね、もう面倒くさくなったので、今回もこの向きで行きますw
SENSAH TEAM PRO実走インプレ
早速使ってみての感想となります。
まずは上ハンドルからのアクセス。
感覚はまんまSHIMANOとでもいいましょうか……(;^ω^)
グリップ感は決して悪くなく、素手で握ってもL-TWoo R9のように滑ることはありません。
レバーの剛性もしっかりとしています。
ただ……これは仕方のないことですが、ブレーキフィーリングはL-TWoo R9と比較すると劣ります。
SHIMANOっぽさが逆に悪さをしているというか、握り込んでもゴツゴツとしたレバーの分厚さが邪魔をして重く感じるんです。
こればかりは、Camagnolo、L-TWoo、SRAMのように、ブレーキレバーが独立していない限り解決は難しい問題だと思います。
一方、シフティングはかなり軽いと言えます。
初期ロットのEMPIREでは、ワイヤの引きが重たい、という意見があちこちから聞こえてましたが、世代を重ねて改修されたからでしょうか、私はかなり軽く感じました。
驚いたのがフロントで、トリムが効くことも相まってかかなり軽いという印象です。
ぶっちゃけフロントに関しては、SRAM RIVAL22よりも軽いですよ。
かなり洗練されたレバーだと感じています(*’ω’*)
次に下ハンドル。
こちらからのアクセスでは、ブレーキに関しての不満も解消されます。
何より、L-TWoo R9では不可能だった、変速が可能になったのが嬉しいですね(*’ω’*)
ただ……レバーに滑り止めの白いポツポツが印刷されているんですが、買って早々2つほど剥がれてしまったのはマイナス点(;^ω^)
できれば、印刷ではなく鋳造・或いは鍛造によるエンボス加工という形で作ってほしかったなぁと思うところはありました。
SENSAH TEAM PROのまとめ
L-TWoo R9同様、他社のデザインに近しいレバー……ということで、最初はナメてかかってたんですが、いざ触ってみると、どっこいなかなか質の高いレバーでした。
TRISPORTSが取り扱いを始めている事実、何よりEMPIRE PROがプロチームに供給されている事実を考えても、将来が楽しみなサプライヤの1つです。
風のうわさでは、電動変速システムも目下開発中とのことですし、現段階でのAliExcpressなどを見ますと、シルバーパーツの供給も始まっている様子。
これがまた、かっこいいと来ています(*’ω’*)
コロナ禍で大手サプライヤのパーツ供給が停滞している現状です。高品質ながらも、変わりのパーツを探したい……という人には、入手性も比較的高いSENSAHのレバーは結構お勧めできる選択肢だと思います。