令和3年10月1日より、熊本県下においても、自転車保険の加入が義務付けられました。
例えば自動車、例えば家屋。
前者ならば任意自動車保険、後者ならば火災保険などなど、なにかしら生活に絡むものには保険がつきものです。
しかし、こと自転車に保険が必要、となると……子供のころから慣れ親しんできた乗り物という事もあり、どことなくピンとこない人も多いかもしれません。
方々で事故の例も紹介されてますが、前述の自動車いざ自分の身に降りかからない限り、想像し辛いものです。
が、私の場合。
幸か不幸か、自転車保険のお世話になってしまいました。
諸々解決して久しいので、生活の知恵的なネタとして記事を書かせていただきます。
稀有な例で加害者に!特定できた飛び石事故
話は数ヶ月ほどまでさかのぼります。物損事故を起こしてしまいました。いわゆる、自転車による乗用車への飛び石事故です。
事故の詳細は、相手方の事を考慮しまして、イメージ画像と大雑把な文章で、書かせていただく形とします。
photoACからの画像
それこそ、いつも通りに自転車で車道を走行中に事故は突然発生しました。
それはとある道を左折したタイミングでした。
私と、私の後ろを追いかけるようにしてやってきた乗用車が、ほぼ同時にカーブに差し掛かった時……。
私の後輪が跳ね飛ばしたであろう小石が、乗用車に思いっきりぶつかったんです。
事故には真摯に対応
お互いに停車し、まずは状況の確認から行いました。
photoACからの画像
一般的に車道での飛び石は、複数の車が行き交う場面で発生することがほとんどで、誰が石を飛ばしたか、なんて特定は難しいことがほとんどです。そういった事情から、責任を問うのは難しい、とされていることが多いようです。
ところが今回のこの場合、該当する車道には私(自転車)と相手方(乗用車)の2台しかなく、なにより、お互いに石を飛ばした、石を当てられた、というのが同じタイミングで認知できたという点で特定できた例となりました。
石を飛ばした感触に加え、直後に大きな「バンッ!」という音が車から聞こえたので特定自体は容易も容易だったのです(;^ω^)
早速音がした場所を二人で確認しますと……助手席のドアが見事にピンポイントで凹んでおりました。
塗装まで禿げて地金が丸出しという始末……銃撃でも受けたのかと言わんばかりでした(;´Д`)
これが乗り潰しかけの車とか中古車とかなら、これがその傷である、という特定も難しいところですが、お話を聞いたところ卸したての新車でした。
これは弁明の余地なし、弁償しないわけにはいきません。
Arek SochaによるPixabayからの画像
故意ではないにしろ、石を飛ばしたのは自分ですから、加害者であることに変わりはありません。
真摯に対応すべく謝罪の意を示すと同時に、先方さんの対応で警察への連絡、そして保険屋さんへの問い合わせなどをその場で順番に行いました。
ここで私が問い合わせたのは、自家用車の任意保険でお世話になっている保険屋さんでした。
自動車保険に付帯させていた、個人賠償責任特約が使えるはず、という思惑からです。
いざ問い合わせてみると、実際に保険が下りるかどうかは当日判断はできないということではありましたが、検討を進めるという形で窓口が即日作成されました。
相手方にも事情を説明し、互いに「すいません」「災難でしたな」とぼやきながら警察の到着を待ちます。
少し不思議な現場検証…念書をもって証拠とする
ほどなく警察の方が現場に到着し、現場検証が始まりました。
ここで難儀したのが、物損事故として立証するための証拠集めです。
まずは、車の傷、及び石を飛ばしてしまった事象の確認。前輪か後輪か、また飛ばした場所とタイミングはどんなものか、といろいろ細かく聞かれました。
ここまでは、被害者、加害者双方への聞き取りである程度目途がつきました。
問題が、傷の原因となった石の特定です。
……特定なんてできません(;^ω^)
こうなってくると、本人同士の事故に対しての認知、いわば、互いに事故である、という認識で合意が取れているかどうかが重要視されます。前述のとおりです。
ということで、「私はこの路上で隣を走る車に自転車で飛び石をぶつけてドアに傷をつけてしまいました」という念書を書き、それを警察に提出するというアクションが発生しました。
これ、警察の方もどうしていいかわからず、法務に詳しい部署に問い合わせて導き出した手段だそうです。
とにもかくにもレアなケースだそうで(;^ω^)
ここで一通りの事故処理も終わり、被害者さんと連絡先の交換を行った上で、後日保険屋さんを介する形で交渉を続ける、という流れで解散となりました。
飛び石そのものを振り返る
John R PerryによるPixabayからの画像
あとで振り返りますと、このケースの飛び石は、起きるときは起きるだろうなぁ……という結論に達しました。
当時、現場のカーブに差し掛かった時の走行距離は、ログを見る限りだと20㎞/h前後。
ただ、ロードバイクでのカーブという事で、車体は大きく左に傾いていた格好となります。
そこで、リアのタイヤが小石を巻き込んだと想定すると……傾いたタイヤがまさにピッチングマシーン的な働きをして小石を高速で跳ね飛ばした、というのが容易に想像出来ます。
跳ね上がる高さも石の飛翔速度もひとしお。
逆に言うと、この相手が乗用車ではなく人様であったなら……想像するのも恐ろしい事態です(;´Д`)
今後はカーブにおける自身の操縦においては、一層周りに気を付けようと心に決めました。
修理費は個人賠償責任保険で全額保証
翌日、保険屋さんから問い合わせがありまして、保険が下りる状況にある、との説明を受けて一安心。
「相手方に何らかの落ち度があったりしますか?」というお話もいただきましたが……あるわけないですね(;^ω^)
全額賄っていただくという事で話が進みました。
更に、自動車保険に付帯されている保険でしたが、ノンフリート等級に影響を与えることはないとのお話。……使わない理由がありません。
そんなこんなで話を進め、相手方の自動車の修理費用、代車費用など、合わせて13万円前後の費用を、保険で賄わせていただきました。
まとめ:あると助かる自転車保険
自転車保険自体は、私自身2017年にブルベに参加したことを機に、結構早い段階から加入しておりました。
その後保険を整理して自動車保険に一本化する形をとりましたが、どちらにしても加入していたことで色々と助けていただきました。
今回は怪我人のいない物損事故ですが、それでも相手方にとっては大事な自動車が傷つけられたわけですから、その責任を、弁償という形で補ったわけです。
これが人命に及ぶとなればなおの事です。仮に死亡事故につながれば、車の傷と比較しても、補償すべき金額が数千倍から数万倍のオーダーに膨れ上がることになります。
責任を取るためにはお金がかかる。
その責任を担保するために、保険というものが存在している。
いざ加害者側に立ってみて、そのような結論に至って色々腑に落ちた次第です。
ところで、自転車保険と言ってもいろいろあります。
私が使った自動車保険の個人賠償特約の場合は、自転車の事故のみならず、例えばペットが絡む事故、子どもが絡む事故などなど、かなり手広い事象に対応してくれる特約として機能してくれるのでいろいろお得です。
他にも、勤め先の会社や協会団体などが福利厚生で団体総合生活補償保険を用意している場合はそれが使える場合もあります。勤務中のみ有効な保険、という場合もあるので注意が必要ではありますが、使えるのであれば勤め先に相談して保険に入るというのも手段としてはありでしょう。
他の例としては、クレジットカードが提供する個人賠償責任保険がお得である場合もあるでしょうし、専用の自転車保険に新たに入る、という選択肢もあると思います。
灯台下暗し、という観点で行くと、自転車屋さんで自転車を買った人ならば、TSマークが張られていればそれだけで1年間保険が付帯されてますので、義務を守る、という観点でいえば安心かもしれません。
通学などで学校を介して年イチの定期点検を行っている学生さんなんかは、こちらの保険のほうがお手軽で十分な場合もあるでしょう。
……いざ取り上げてみれば手段は様々。
この記事をご覧になって、自転車保険をお持ちでない方、あるいは自然に持っているかもしれない……と思われた方は、是非ともご自身の保険の見直しを行っていただければと思います。
taehwan kimによるPixabayからの画像
熊本県県下での保険義務化まで、あと一週間です。
お持ちでない方は、対応をお忘れなく(^ω^)
そして素敵な自転車ライフを引き続き楽しみましょう。