ここ2ヶ月ほどの話ですが、通勤車であるGIANT OCR1から異音がするようになりました。
異音自体は過去何度も経験があり、その都度問題を解決してきたので今回もすぐに分かるだろう……と高をくくってたのですが。
アタリがことごとく外れて、完全解決するまでにほぼ1ヶ月かかってしまいました(;^ω^)
あまりにアレな結果だったので、その経緯をまとめてみようと思います。
異音パターンは「ペダリング中」
まず、今回のパターンは、ペダリング中であるということ。
音も、カチ……カチ……という、金属か樹脂が何かに引っかかるようなものである、ということがわかります。
更には、左クランクを目一杯真下に踏み込んで下死点に至った際に確実に発生するという法則性まで掴むことが出来ました。
が、問題はここからです……。
考えられる原因が多すぎるのです(;^ω^)
ざっと列挙すると次のとおりです。
- ペダル軸のグリス切れ
- フィキシングボルトの緩み
- BB軸のグリス切れ
- BBシェルへの異物混入
これを一つ一つ潰していくしかありません。
ペダル軸のグリスアップ → ハズレ
まず最初に疑ったのはペダル軸のグリス切れでした。
過去に2回経験済だったので、「またか」と思いながらグリスアップを試みました。
が、右ペダルの分解に失敗(;^ω^)
ロックリングを工具でねじる向きを間違えたか、或いは金属疲労でメキッと行ったのか……。
ロックリングが中で割れて空転するようになり分解不可能になってしまいました。
仕方がないので、昔使っていたPD-M324の右を引っ張り出してチグハグ構成で乗り切ることにしました。
こっちは左ペダルのほうがオシャカになって運用を停止したものになります。
たまたま右が無事で幸いでした。
が、ココまで苦労したのに症状は改善しません……。
フィキシングボルトの増し締め → ハズレ
次に注目したのがクランクのフィキングボルトの緩みです。
ここが緩んでいると、クランクにかかる力具合でチェーンリングが浮いたりして音を発生させることがあるそうです。
という事で、六角レンチとペグスパナを利用して増し締めしましたが、特に緩んでいることもなく……。
なにより、改善には至りませんでした。
BB軸のグリスアップ → ハズレ
続いてBB軸のグリスアップ。
クランクとBBカップを外して、シャフト兼コーン部分を引き抜いて汚れを拭き取ります。
その過程でシャフトの向きを示していたラベルが剥がれてしまったので、油性ペンでLを書いておきました。
さて、新しいグリスを封入して再確認しますが、コレまた改善せず……。
コレはいよいよBBまるごとオーバーホールか……と決心するに至ります。
BBシェル全体のグリスアップ → ハズレ
ということで、改めてクランクとBBカップを外して、構成するパーツをバラバラに分解。
パーツクリーナーを利用して一切合切汚れをこそぎ落としていきます。
きれいになったところでグリスをたっぷり封入。
クランクとシャフトの嵌合部分も清掃し、元の状態に戻します。
コレで改善するだろう!
意気揚々とペダルを漕ぎました。
が。
これまた全然改善しません!
結局原因は……。
ここまでくると、流石に辟易とした気分になりました(;^ω^)
前述した法則性から、クランクの下死点にて発生する力の影響で生じるたわみが原因だとは想像つきますが、それがどこなのかがコレで完全に分からなくなりました。
ここまでメンテして異音が減らないとなると……BBの軸が歪んでいるのか、フレームにクラックでも隠れているのか。
など、最悪の事態まで想像する始末です。
そこまで考えてふと……。
そういえば、こいつを調整したらどうなるだろう?と思いながら、リアフェンダーを固定しているストラップの位置を気持ち上に持ち上げてみました。
……。
異音が解消されました……。
原因は、まさかのフェンダーだったのです!
クランクを踏み込んだ際に生じるフレームのたわみが、ちょうどリアフェンダーを固定しているストラップ部分、すなわちシートステーにて発生していたようです。
その影響をモロに受けてしまうポイントにストラップが存在したことで、これが擦れるか浮くなどして異音を発生させていた、というわけです。
これは想像を超えた、まさに意外な伏兵でした。
アレだけ分解してオーバーホールに近い作業を行って……結局原因はコレという顛末。
流石にわかったときは全身の力が抜けました(;^ω^)
所感
分かってしまえば他愛もないこと、ですが……
分かってしまうと……なんと他愛もないことで異音が発生してたんだな、という気持ちになります。
が。
実際に原因を探ってみると、特定作業は非常に大変であるということが改めて体感できました。
私の自転車いじりは単なる趣味ですから、どれだけ時間がかかったとしても自分の持ち物、自分の自転車です。
損した得したという気持ちが発生することはありません。
しかし、これが他人の自転車、いわゆる自転車屋さんのお仕事となると……。
それ相応の価格を設定しないと、とても割に合いません。
プロへの敬意を
しかしながら……何も知らないお客様からすれば「なんと他愛もない」になってしまうんでしょうね。
おっさん「前後共、ブレーキ効かなくて」
僕「前はブレーキシュー交換、後ろはワイヤー調整っすねー。約1500円です」
おっさん「え、そんなすんの?じゃあいいわ。負けてくんないでしょ?」
僕「え、安くなんないっすよ?w」
おっさん「じゃあ帰るわ」
ブレーキ、ケチるおっさん
— 自転車屋店員あるある (@Jitenshaya_Aru2) October 4, 2016
実際、上記のような、「それくらいタダにしろや」と言い寄ってくるお客さんが多くて困る、という自転車屋さんの声がネット上でも多く聞かれるのも頷けます。
ただ、自分でいじっている身から言わせていただきますと……。
お願いした作業に関しましては、ちゃんと対価は払いましょう。
これに付きます。
実際にやってみるとわかりますが、機材が壊れることもあります。
ていうか今回、ペダルを壊しました(;^ω^)
更に、特定までに何度も分解・組み立てを繰り返す場合もあります。
怪我をする恐れもあります。
作業するたびに両手はグリスまみれになります。
コレを洗い落とすのも手間なんです。下手すりゃ10分くらいウタマロでゴシゴシしなければなりません。
それを、「プロなんだから」とか訳の分からん道理で値切り交渉するというのはあまりにも自分勝手すぎます。
モノに対する値切りならば多少は分かりますが、この場合は技術料です。
技術に対する敬意そのものです。
ビタ一文ケチらずに支払うべきです。
今回の私のケースは文字通り他愛のない異音でしたが、これがフレームやフォークのクラックからのものだったりしたら……。
最悪損壊、走行中に発生すれば大事故に繋がりかねません。
これが、医師と患者の関係性に置き換わったらどうでしょう?
結果が単なる風邪なら「他愛もない」かもしれませんが、ガンの恐れがあって受けた検査を「まけてくれや」なんて言えますか?
まぁ世の中には言ってしまう類の人間もいるかも分からんですけど……。
プロに対する顧客側の姿勢は、それが医者であろうと自転車屋さんであろうと同じです。
プロには、敬意をもって接してしかるべきです。
今回、改めてそのことを痛感する機会となりました。
そんな感じで、改めてネットの声を探してましたら……。
プロの時間をなんだと思ってんだろね。って話。プロはみんなこー思ってるってことを理解して作業をお願いすべき。 https://t.co/uyMcdN08hz
— ひろ (@wannyan__team) November 5, 2019
このケースもひどいですよね、技術だけ盗んでタダで帰るとか私なら絶対できないです(;´Д`)
むしろ、倍払って作業をお願いするくらいの気持ちでショップに行きましょうよ……。
その他の異音パターン
さて最後に、過去に経験した別のパターンの異音についても参考までに記載しておきます。
足を止めたままのパターン、いわゆる空走中に発生した時については、シートポストのグリス切れが主な原因でした。
音色も今回の異音に良く似ていまして一瞬騙されかけましたが、走行中にサドルから腰を浮かせれば音が消える……ということで単純に把握できました。
また別の例では、トップチューブバッグを固定させるベルトがフレームなどに擦れる音が原因であることもありました。
このときはヘッドがヘタったか、フォークコラムに亀裂でも入ったか……と割とガチで心配になりました。
最終的には、停車中にハンドルをグリグリと動かすことで、バッグからの音であると特定することが出来ました。
どちらにしても、発生源を特定する為には、その原因を一つ一つ絞り込んでいくしかありません。
非常に根気のいる作業である、ということを改めて書き記して、今回は終わりにしたいと思います(*’ω’*)
2020年1月30日追記…その後
と、色々偉そうなことを書いちゃってますけど……。
異音、解決していませんでした★
……情けない(;^ω^)
結局、事実上の完全解決は1ヶ月後となってしまいました。
その顛末はコチラ↓