熊本市を流れる川の一つに、藻器堀川があります。
……ふつうに、読めません(;^ω^)
しょうけぼりがわ、と読みます。
しかもこの川……用水路やドブと見まごうレベルのものすごく細くて小さい川なのです。
そのくせ、一級河川……。
実情としては、一級水系である緑川の支流、加勢川の最上流に位置する川の一つという事で一級河川に位置しているのだとか。
そんな規模としては小さな川を、水源地から江津湖まで、ぶらっとポタリングで辿ってみることにしました。
東区神園 … 中峰堤池(水源?)
熊本市東区神園に、事実上の水源となる中峰堤池があります。
池の裏手には神園山、その反対側には熊本県民総合運動公園が控えてます。
実質ため池みたいなもので、どこからか水が沸いているという印象もなく……。
ただの、フツーの池です(;^ω^)
実際には、神園山にある複数の小さな水源の水が集まる形で、源流を形作っているようですが……とても全ては追えませんでしたw
東区長嶺東 … 立て看板の登場
中峰堤池から南に下ると、住宅地の合間を縫った水路が……複数のため池を経て複数の水路と合流しながらさらに南西方向へ……。
本当に川と呼んでいいのか、というレベルの細い水路が続きます(;^ω^)
そのうち川は県道103号線と交差、県道の東側を沿って流れていきます。
写真は、託麻南中央公園/鐙田湧水公園の入り口界隈を写したものです。
その反対側……最初の立て看板が姿を現しました。
文字も消えかけてますが、しっかりと管理されている川であることが分かります。
公園の名が示す通り、ここいらにも湧水がいくつかあるようで、下るにつれて水量が徐々に増えていくのが分かります。
東区八反田・長嶺西
高台を走る国道57号線の東側、閑静な住宅街の間を貫く形で、藻器堀川が南西方向に下っていきます。
湧水や支流の水を受け止めた結果、川幅もそれなりに広くなっていきます。
昔は大雨が降るとすぐに氾濫していたそうで、小さいながらも暴れ川の二つ名を持っていた、なんて話もあります。
中央区保田窪 … 保田窪放水路
そのまま南西方向に移動し、中央区へ。
藻器堀川がいつの間にか、保田窪放水路へと合流します。
先に述べた水害の影響を緩和するために、白川にあふれた水を逃がす目的で作られたのが保田窪放水路です。
平成元年に完成し、今では地元でも有名な桜の名所になっています。
さて、ここで藻器堀川はどこへ向かうのかと言いますと……。
保田窪放水路から分岐するように、小さな支流として流れていきます。
放水路の一部として機能するように、埋め立てずにそのまま残しているというのが正解でしょうか。
とはいえ、その地味な支流の真上に立て看板が立てられてまして……。
小さな橋をくぐってさらに下流へ。
そこから保田窪放水路に再び合流(?)してさらに支流として分岐・継続、緑川に向かうという、訳の分からない経路をたどります(;^ω^)
そして国道57号線を渡り、産業道路を横断したところから再び川の顔を見せるようになります。
中央区帯山~水前寺成趣園
ところがどっこい、帯山に入ると……。
季節が冬頃ということもあってか、水が枯れておりました。
保田窪放水路が出来てしまったので、そっちであらかた吸収しちゃうというのもあるんでしょうね。
しかし、水前寺まで来るとその様相が少しずつ変わっていきます。
水量が増えていきます。
ビルの合間を抜けて川を追いかけていくと……。
水前寺成趣園に到着です。
日本屈指の大名庭園の一つに数えられます。
が、いかんせん借景の阿蘇山などがビルで隠れてますので、全体的にはほかのところに負けてしまってるのかなと……(;^ω^)
熊本城が存在する関係で熊本にはそもそも高層ビルが少ないですから、水前寺成趣園界隈までこれに倣ってしまうと街の発展が取り残されてしまいます。
流石にこればかりは仕方がないんでしょうねw
ちなみに、昔はこの敷地の中に動物園があったとのことで、私も最近になって知りました。
そんな水前寺成趣園の脇を掠めて川は南へ。
ここらへんは川底からも水が滾々と湧き出しているため、水量の増え方が半端ありません。
サイクリスタ熊本さんの裏手を抜けたところあたりで公園からの水を引き受けますので、更に水量がググっと増していきます。
NHKのテレビ番組ブラタモリで取り上げられていたのもこの界隈で、写真には収め損ないましたが、水神様も祀られています。
そしてここらへんから、川の名前が加勢川に変化します。
熊本のメインストリートの一つである電車通りを渡って、そのまま中央区出水へ。
中央区出水~上江津湖
藻器堀川の細々とした雰囲気はどこへやら、風情のある川がしばらく続きます。
そしてほどなく、上江津湖に繋がります。
ぞうさんプールと呼ばれる水遊び場が上江津湖の入り口みたいなものです。
が、正直地元民的にはここで水遊びはしたくありません、結構、水が淀んでますので(;^ω^)
更に左岸を下流へ向かうと、湖の幅がどんどん広がっていきます。
そして、別のところから湧き出す水が合流する場所へやってきました。
ちなみに、水遊びするならお勧めなのは絶対こっちです。
湧き立ての水が大量に流れ落ちてきますので、淀むいとまがございません。
水もご覧の通りの透明度!
真夏に来れば涼めること請け合いです(*´ω`*)
これらの水が一つとなって、上江津湖が形作られています。
ボート乗り場や遊歩道などが整備されてますので、休日のちょっとしたお出かけにもちょうどいいお勧めの公園です。
下江津湖
国道3号線を挟んでさらに南に向かうと、一旦湖が細まり加勢川へと名を戻して、更に広がって再び湖となります。
下江津湖です。
上江津湖よりも一回り大きく、流入口から流出口まで、距離にして1kmほどある、熊本では一番大きな湖です。
熊本市動植物園が隣接し、周回をぐるっと回れるような遊歩道に、広大な公園まで整備されています。
そして、下江津湖の端っこで探索は終了です。
ここからは再び加勢川として、南西方向に下り、緑川と合流して有明海へとつながっていくわけです。
藻器堀川を辿ってみて
元来川というものは、上流から下流に下るにつれて支流が合わさりながら水量が増えていくのが基本だと思っていました。
が、この藻器堀川……というか、加勢川の始点界隈が主ではありますけど、川自身が水を生み出している、という特異な性質を持つ川であることがよく分かりました。
ブラタモリでも取り上げられてたことですが、阿蘇山の火砕流堆積層の隙間を縫って、阿蘇に降った雨水が湧き出している場所……台地の際がそのまま川になっているわけですね。
いざ辿って体感してみると、なんとも不思議な川だなと思わざるを得ませんでした。